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お口の中の病気ではないのに!?歯周炎と「心血管疾患」の密接な関係性とは

歯周炎と心血管疾患

常に全身の健康を見据えた口腔ケアを。歯周病が深刻な病を引き起こす理由とは?

歯肉炎や歯周炎である歯周病は、全身の健康にも影響を及ぼすということは以前から注目されています。虫歯だけ、炎症だけ、などの“お口のトラブル”という問題ではないのです。
インフルエンザやコロナなどの感染症はもちろん、糖尿病や今回の心血管疾患などの全身の疾患へと繋がりかねない恐ろしく、大いに関心を持つべきものであることは間違いありません。

アテローム性動脈硬化症を背景とする歯周炎および心血管疾患(冠状動脈性心疾患 / CHD、心筋梗塞、およびアテローム血栓性脳梗塞や末梢動脈疾患(PAD)などの脳血管疾患)は、多大な苦痛をもたらし、健康上の大きな問題につながっている世界的に大きな疾病です。過去30年間にわたり、これら2つの疾患の関連性が議論されてきました。歯周炎によって引き起こされる炎症が、心血管系疾患につながる動脈硬化の発症に影響を及ぼす可能性があるとして、説明モデルとして提案されてきました。

ただし、これら2つの疾患の間に直接的な因果関係があるのか、それとも共通の危険因子のみによるものなのかについては、まだ意見が分かれています。

こちらのファクトシートもご参照ください:

歯周病の分類における、プラーク性歯肉炎および歯周炎による分類について

疫学

疫学研究では、歯周炎と心血管疾患との関連性が示されていますが、研究によっては、関連性のないという結果の報告もされています。

研究によって異なる結果が報告される理由の1つとしては、多くの研究で歯周炎の定義が異なるため、結果を比較するのが難しいということです。歯周炎は、臨床的なアタッチメントの喪失、ポケットの深さ、プロービング時の出血、歯の喪失などの臨床所見として報告されることもあれば、X線写真で確認された骨の喪失として報告されることもあります。また、参加者の数の違いも結果に影響します。これらの要因の違いは、肯定的な関係や相関を示さない研究結果が生じる可能性があるのです。

心血管疾患を持つ人に歯周炎が1.2~2倍多いことを示す文献は数多くあります。歯が10本以上ないことは、心血管疾患の発症リスクを増加させるようであり、心血管疾患や死亡の原因に関係なく、早死の危険因子であることが示されています。歯周炎が既知の心血管疾患を有する人の新たな心血管疾患のリスクを増加させるかどうかについては、相反する結果が提示されています。

2つのメタアナリシスでは、歯周炎は心血管疾患を持つ人に1.14倍から2.35倍多くみられると結論付けています。

ただし、疫学研究では2つの疾患間の因果関係を示すことはできず、関連性のみを示すことを覚えておくことが重要です。

一般的な危険因子

歯周炎と心血管疾患は、家族の病歴、喫煙、糖尿病、心理的ストレスなど、多くのリスク要因を共有しています。これらの要因は、これらの因子は2つの疾患に独立した影響を及ぼし、観察された相関関係を説明できることがあります。

歯周炎と心血管疾患との関連についての説明モデル

歯周炎における歯肉縁下細菌叢の全身的影響については議論されており、炎症や免疫反応を促進すると考えられています。

口腔細菌(ポルフィロモナス・ジンジバリス Porphyromonas gingivalis)の歯周炎に関連する細菌種は、血管のアテローム血栓性プラークで発見されています。

歯周炎は、心血管疾患の発症に悪影響を与える以下のプロセスに影響を及ぼすことが示唆されています。

  • 内皮細胞の機能障害
  • 血小板の活性化による血栓形成リスクの増加
  • C反応性蛋白(CRP)、白血病細胞の浸潤、好中球細胞、高濃度の炎症性サイトカインなどの全身性炎症マーカーへの影響
  • アテローム性動脈硬化症のリスクの増加など、血液中の脂肪の含有量や分布への影響

歯周炎の治療

歯周炎の治療にはいくつかの全身的な効果があるようです。歯周衛生治療はCRPの適度な減少、内皮細胞機能の若干の改善、全身性炎症のマーカーに対するプラスの効果をもたらします。しかし、これが心血管系疾患の予防にどのように影響するかはまだ報告されていません。

歯周炎の治療を研究している予防研究は、心血管疾患を発症するリスクが低いことを示しています(一次予防)が、研究はまだ不足しており、倫理的な立場からまだ実施が困難です。歯周炎の治療が心血管疾患の再発リスクを低下させるかどうかの研究はほんのわずかです(二次予防)。

結論

歯周炎、特に一般的なステージIVグレードCの歯周炎(以前は一般的な進行性慢性歯周炎)詳しくはこちらをご参照ください:歯周病の分類における、プラーク性歯肉炎および歯周炎による分類については、アテローム性動脈硬化症によって引き起こされる心血管疾患の患者によく見られるようですが、直接的な因果関係を示す研究はまだありません。

歯周炎の治療は全身性炎症のマーカーにプラスの効果をもたらす可能性がありますが、歯周病の治療が心血管疾患を発症するリスクを軽減したり、既知の心血管疾患の予後を改善したりすることは現在証明されていません。

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