インプラント治療と同時に、「自家骨」による「骨造成」を行う!?
※本記事はスウェーデンの先進歯科医療に関する研究論文等を翻訳してご紹介しています。
自分の骨を利用して歯槽骨を再生させる。インプラントの埋入が難しい状況でのこの治療方法とは
インプラントを希望したいと思っていても、歯周病が重症化により顎の骨が減ってしまっている…という状況があります。このような場合はインプラントをしっかりと埋入できないため、治療は不可能となってしまいます。しかし、それを可能にするのが、今回の「骨造成」です。では、その方法とはどのようなものなのでしょうか…
インプラント治療において歯槽骨がない場合、インプラントの埋入位置を最適化し、補綴物のリハビリテーションに最適な口腔内の解剖学的条件を作り出すために利用できるさまざまな技術と材料があります。主な材料は以下の4つです。
- 自家骨
- 同種骨移植(ヒトをドナーとする場合)
- 同種異種移植片(人工骨を材料とする場合)
- 異種移植片(ヒト以外の動物をドナーとする場合)
自家骨は、口腔再建のゴールドスタンダードと考えられています。自家骨には骨治癒を促進する成長因子が含まれており、同種異系骨材料には含まれていません。骨の治癒には以下の4つの因子が特に重要です。
- 移植片の強固な固定
- 良好な粘膜被覆
- 移植片の再灌流
- 緊張を伴わない治癒
口腔内採取部位は、局所麻酔で行われることが多く、アクセスが容易で、採取部位に近接しているため、移植片の虚血時間が短いという利点があります。主な欠点は、採取できる骨の量が限られていることです。したがって、この方法は大きな骨欠損には不十分な場合があります。
口腔内で採取できない大量の骨が必要な場合は、口腔外採取部位が推奨されます。以下の口腔外採取部位が利用可能です。
- 腸骨(上前腸骨棘と上後腸骨棘)
- 肋骨
- 頭頂骨(カルバリア)
- 脛骨
- 尺骨
- 腓骨
適応症
歯科インプラントによる咬合機能の再建のための歯槽骨の欠如。
治療
術前検査
臨床検査:口腔補綴および顎顔面手術。
X線検査:
- 下顎無歯顎:OPG
- 部分的に歯のない下顎:OPG、口腔内X線、CBCT
- 矢状偏位が大きい場合、完全無歯顎の上顎/下顎は横顔X線写真で補足する
ブロック状の骨と粒子状の骨
ブロック状に切り出した骨は構造的に安定しており、初期には容積も安定しています。粒子状の骨は、細かな骨と海綿骨からなります。原則として、粉砕した骨は粒子状の骨を生成するために使用されます。ブロック状に切り出した骨に比べ、比較してより広い治癒領域をカバーします。これは、治癒時間がより短くなるだけでなく、吸収速度がより速くなることを意味します。
治癒
骨移植の治癒期間は通常4~6ヶ月です。補綴物を再建せずに治癒期間が長くなると、骨吸収のリスクが高まります。
禁忌
- 重度の後天性または先天性の免疫不全患者
- 適応が示されている悪性疾患に対するビスホスホネート製剤の静脈注射による治療
- 喫煙
抗生物質
インプラント手術では、抗生物質による予防が考慮される場合があります。歯科における抗生物質に関する医療機器庁の勧告に従い、2gのアモキシシリンが手術開始1時間前の単回投与として、またはペニシリンアレルギーの場合は600mgのクリンダマイシンが手術開始1時間前に投与されます。
合併症
- 口腔内:骨の量が限られている。移植片が治癒しない。さらに、歯内療法の問題、感覚障害および感染症のリスク。
- 口腔外:移植片が治癒しない。さらに、瘢痕形成、感覚障害、感染症のリスク。
参考文献
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本記事は、興学会と日本スウェーデン歯科学会の活動の一環として歯科先進国と言われているスウェーデンの先進歯科医療に関する論文等を翻訳しご紹介するものです。記事内に掲載の各機関は指定のない限り、スウェーデン国内の機関を示します。また、記事の内容には、一部誤訳等を含む場合があるほか、研究・臨床段階の内容も含まれており、実際に治療提供されているとは限りませんので予めご了承ください。