日本歯科新聞「医歯薬連携で受診勧奨など促進」掲載情報
糖尿病重症化予防プログラム
愛知県の各地域で「医歯薬連携による糖尿病重症化予防プログラム」の作成・展開が進められている。愛知県歯科医師会(内堀典保会長)は、県医師会と県薬剤師会共にプログラムの監修等、事業実施に向けて協力。令和3年度の6地区でのプログラム試行では、受診推奨や診療情報提供書作成の促進が確認され、4年度も県内で取り組みの広がりが期待されているという。
愛知県は、国保ヘルスアップ支援事業「医歯薬連携による糖尿病重症化予防モデル事業」を実現している。医科または歯科の受診時に、糖尿病または歯周病リスクが高いと診断された人、薬局で糖尿病薬の処方指示がある人に対してチェックリストを配布。チェックリストの項目に該当する対象者にリーフレットによる説明の上、必要に応じて歯科、医科への受診推奨や診療情報提供書を作成するなど医・歯・薬が連携して糖尿病重症化予防を図るためのプログラムづくりを推奨している。
令和3年度は、名古屋市港区、豊橋市、碧南市、小牧市、東海市、清須市の一部地域で3ヶ月のプログラムを試作。6地域で95医療機関が参加し、約7500人のプログラム対象者のうち、約6200人にリーフレットによる情報提供は行われ、さらにうち約2千人に受診推奨が行われた。また、医科から歯科に231件、歯科から以下に91件の診療情報提供書が作成された。
県歯によると、対象者向けアンケートで、「リーフレットを読むまで歯周病と糖尿病の関係を知らなかった」との回答が約6割、「リーフレットを読み歯科あるいは医科を受診した・受診しようと思った」が4割を超えたとのこと。さらに、医療機関から受診勧奨を受けた人のうち、8割近くが「受診した・受診する」と回答したことから、「行動変容のプロセス促進に貢献できた」と考察している。
「環境のためにも予防歯科が大切」FDI提言
世界歯科連盟(FDI)は3月30日、自然環境の持続可能性に寄与する口腔保険に関するコンセンサスをまとめ、各国のステークホルダーに発信した。
持続可能性コンセンサスパネルは、ニコラス・マーチン氏(シェフィールド大学教授・修復歯学)をリーダーとして、修復歯学、歯科理工学、経営学による専門横断的チームを編成。コルゲート、デンツプライシロナ、グランスソスミスクライン、P&G、TePeら企業がパートナーとして参加している。
提言の趣旨は、歯冠修復、欠損補綴などの歯科治療が、環境負荷につながることから、口腔保険状況の改善により、環境の持続可能性に寄与すべきだというもの。修復治療で用いられる充填材料、単回使用の治療器具などがプラスチック素材からできているなどを年頭に、歯科疾患の予防や、製品パッケージの改善といった施策により、これらの消費を減らせると訴えている。