側方歯郡の歯に発生した、「隙間」の閉鎖を行う―スペースクローズ―

抜歯や無歯顎などによる歯の隙間。これをカバーする治療の選択肢とは。
歯が生えてこない、虫歯などの損傷により抜歯せざるを得ない状態の場合、必然的に歯と歯の間には隙間(スペース)が発生してしまいます。この状態を放置してしまえば、歯並びや骨格のバランスにも影響を及ぼすため、発達に合わせた最善の方法を選択する必要があります。この歯列内に生じている隙間を矯正治療によって閉じることを、スペースクローズと呼びます。
子供や青少年の閉鎖
側方歯郡の喪失は、ほとんどの場合、形成不全による小臼歯の抜歯、または齲蝕や低石灰化による損傷し、抜歯されたことが原因です。第二小臼歯の形成不全の場合、広範囲の咬合不全、歯根吸収、または虫歯がない限りは、第二乳臼歯を残存できることがあります。しかし、これらは通常抜歯する必要があり、その結果歯に隙間(スペース)ができてしまいます。
小臼歯の形成不全の場合、この状態は下顎で最も頻繁に発生します。下顎の第二小臼歯の片側または両側の欠損は、全人口の2~4%に発生しています。
治療の選択肢
- 乳臼歯の早期抜歯と永久臼歯の自然な近心移動。
- 乳臼歯は早期に抜歯され、その隙間は固定式の矯正装置で閉じられます。場合によっては、側歯の近心移動の可能性を高め、隙間が閉じる可能性を高めるために、対応する上顎の歯も抜歯されます。
- 例えば、上顎の第三大臼歯を下顎の第二小臼歯の位置に移植する手術で、第三大臼歯の歯根の発育が移植に適した段階にある18~20歳のときに行われることが多いです。
ファクトシートもご参照ください:「側方歯郡の歯の「隙間」の発生と、置換前に行うべき前処置とは」
自然な咬合と歯科矯正器具による咬合の両方を達成することが非常に時間と労力を要すると考えられる場合、乳臼歯を維持することが代替手段となる場合があります。残存する第二乳臼歯について最も良好な予後は、歯根吸収が中程度で、下顎咬合が皆無またはごくわずかであり、虫歯や詰め物がない場合です。このような場合、他の乳臼歯も長期間その位置に留まることが期待できます。しかし、下顎咬合は10代後半に始まり、急速に進行する場合があるため、これらの歯の治療は重要です。
顎のスペースが不足していると同時に側方歯郡に歯が1本または複数本欠損している患者の場合、乳臼歯を抜歯し、自然咬合または装置による咬合治療を行うのが自然です。自然咬合により隙間を埋めるための咬合の発達に最適な時期は、第二大臼歯が生える前です。ただし、下顎第二小臼歯の無形成は、通常9歳になるまでは診断が確定できず、場合によっては9歳を過ぎても不明なままである可能性があることを考慮する必要があります。
上顎の側方部に欠損歯がある若年者では、矯正装置を使用するかどうかにかかわらず、側方歯の近心/遠心移動が通常よりも容易であるため、治療計画は通常よりも簡単です。また、治療のタイミングもそれほど重要ではありません。スウェーデン保健福祉庁(社会庁)による成人の治療に関する国内ガイドラインでは、矯正装置を用いた側方歯の隙間の閉鎖(スペースクローズ)または縮小は成功率が高いとされており、一般的に上顎の方が下顎よりも成功率が高いと考えられています。
成人における閉鎖の方法
成人の側方歯の欠損は、虫歯、過度な充填、垂直破折、歯周炎、または小臼歯の形成不全が原因であることが多いです。このような場合、隙間をどのように閉じるかを決定する前に、咬合の種類、現在の状況などを考慮した上で咬合の状態を評価する必要があります。
長期的に安定した結果を得るために、同じ顎や反対側の顎にある追加の歯を抜歯しなければならない場合もあります。
成人の場合、特に下顎だけでなく上顎でも、前方に歯の重なりが生じることは珍しくありません。このような患者の場合、歯列弓を滑らかにして安定した咬合を確立するために、側方部の歯のスペースを活用することが適切な場合があります。この場合、片顎または両顎に固定式の矯正器具を装着する治療、あるいは場合によってはアライナーを使用する治療が必要になります。
成人の場合でも、上顎の奥歯の近心への移動は下顎よりも簡単に行えます。
治療
成人に対する治療に関するスウェーデン保健福祉庁(社会庁)の国家ガイドラインでは、この状態が口腔の健康に中程度の影響を与えると記載されています。隙間の閉鎖(スペースクローズ)を行うことで、中程度から良好な結果が得られ、口腔の健康に良い影響を与える可能性があります。
この処置の費用対効果は評価できませんでした。科学的証拠が不十分であるため、その効果はコンセンサス手法に基づいて評価されました。
国家ガイドラインの結論
- 成人の側方歯郡に欠損歯がある場合、矯正装置による治療で隙間を閉じることができ、成功率は中程度から高い(コンセンサス)。
- 成人の側方歯郡に欠損歯がある場合、矯正治療により隙間を閉じる際に、咬合や顎の構造の長期的変化に適応できる天然の歯を維持することができます(コンセンサス)。
- 成人の側方歯郡に欠損歯がある場合、矯正歯科治療によって隙間が閉じられた場合、機能や心理的・社会的な健康の改善度は低い(単純なコンセンサス)。
- 側方歯郡の欠損に対する矯正治療以外の選択肢としては、歯の移植、インプラント、固定式義歯による置換などがあります。
国家ガイドライン 2022
推奨スケールに応じた優先度8
症状:前歯部の歯列不正に伴う歯の隙間
処置:矯正装置による矯正(歯の隙間がある場合)
推奨スケールに応じた優先度5
症状:禁忌のない中程度の前歯の傾斜
処置:矯正装置による傾斜の矯正
参考文献
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本記事は、興学会と日本スウェーデン歯科学会の活動の一環として歯科先進国と言われているスウェーデンの先進歯科医療に関する論文等を翻訳しご紹介するものです。記事内に掲載の各機関は指定のない限り、スウェーデン国内の機関を示します。また、記事の内容には、一部誤訳等を含む場合があるほか、研究・臨床段階の内容も含まれており、実際に治療提供されているとは限りませんので予めご了承ください。

















































